2017年 滴仙会理事会及び新年互礼会~大重筠石会長想い出の会~

2017年 滴仙会理事会及び新年互礼会―大重筠石会長想い出の会―報告

 去る1月8日日曜日「平成29年滴仙会理事会、新年互礼会~大重筠石会長想い出の会~」がホテル阪急インターナショナルで行われました。
 去年の11月6日に、大重筠石会長が急逝されましたので、伊藤一翔理事長の新年の御挨拶はなく、大重筠石会長への黙祷で理事会が始まりました。


 伊藤一翔理事長は「大重会長に、滴仙会をここまで大きくしていただいた。大重会長の御遺志を我々が引き継いで頑張って行こう」と、ともすれば沈みがちの我々の気持ちを少しでも揚げようと、滴仙誌創刊の当時の出来事、大重会長との思い出を時にはユーモアも交えてお話しになられ、そして大重会長に感謝の念を述べられました。おかげで、緊張していた我々の心に、ふわっと温かい空気が流れました。
 理事会では会則変更、新組織幹部役員、新役員昇格者紹介、安田東鶴先生からの平成28年度の事業、会計報告等、本年度の事業案の報告があり、会場から満場一致の承認の拍手があがりました。幹部役員の先生方からも「これから伊藤一翔理事長をお支えつつ、前に進んで行こうと思いますので、皆さんご協力をお願いいたします。」とお言葉をいただき理事会は終了し、新年互礼会の会場へと移動しました。

 会場に入ると、舞台には大重会長のお写真が祭壇と共に設けられ、在りし日のお元気な御姿が映像で流されておりました。ぐっと胸に詰まるものがありました。「本当に大重先生は亡くなってしまわれたんだなぁ」と皆が再確認したと思います。だけど、大重会長はしめっぽいのはお好きではないはずなのです。笑顔でこのひとときを過ごすべきです。
 伊藤理事長が壇上で大重会長の御逝去のご報告と、ここでも大重会長への深い思いを述べられ、「刻々と変化する書道界を、力を合わせて頑張って行こう。大重先生という大黒柱を失ったが、大重先生が命をかけて御指導していただいた滴仙会です。ここまで大きくしてくれたこの会を成長させて行こう」とご挨拶されました。
 続いて新役員の紹介、平成28年度の顕彰がありました。


 第二部の始まりは、佐野宮峰先生による木鶏のお話しと、献杯の御発声で始まりました。お酒のお好きだった大重会長を偲び、それぞれの思い出話と共に、久しぶりに会う仲間と食事がすすみました。盛り上がってきた頃に、伊藤一翔理事長、西本茜堂顧問、沼田碧漣副理事長、福田蕉溪副理事長、安田東鶴副理事長が壇上に上がられ、大重先生との思い出を語って下さいました。先生方はそれぞれに深い思い出をお持ちになっておられました。
 西本茜堂先生は、大重先生35歳、西本先生37歳の時に初めてお二人が出会われたその頃の貴重な思い出をご披露して下さいました。大重先生がお若い頃に、沢山の幹部の先生方がご覧になる中、式次第が書かれているメモを片手に、模造紙二枚に、下書きもなしにサラサラと即興で書かれ、それが見事な収まりに仕上がり、他会派の先生方も感心しきりだったと…。すごいです!これは大重先生ならではの神業です。まさに神ってます!
 伊藤一翔先生は、大学生の時に有馬へ錬成会に行き、大重先生と腕相撲、足相撲をされた事や、洋品店で「君に似合うで」とネクタイを買ってもらわれた事、丸で親子のような心温まる、私の知らない大重先生の優しい御姿です。
 沼田碧漣先生は、カルチャーセンターでの空き時間に、暖簾をくぐり、飲んだり食べたりの御席をともにされたお話。福田蕉溪先生は、大重先生が見えないところでどれ程練習されていたか、先生から受けたお言葉を深々と述べられました。安田東鶴先生は、大重先生の武勇伝のお話、書、画、篆刻が出来る稀有な存在の方だったとお話になられました。
 そして伊藤先生は、こうも述べられておりました。大重先生の書は「まさしく《自在》だった」と。本当に早くて正確で、機械のように綺麗だったと…。
 「大重先生の書に対する理論は誰も論破できなかった。大重先生の自信には確固たる裏付けがあった」と…。今となっては、大重先生の書に対する情熱を、先生の御声で聞けないことはとても寂しい事ですが、こうして思い出を語って下さる先生方が私達にはおられます。有難いことです。とても近くに大重先生を感じることができます。
 そして大重社中筠仙会を代表して、日下守拙先生の大重先生へのお手紙を司会者の方が読み上げて下さいました。大重先生との五十年にも渡る師弟関係、お酒にまつわるお話、深い感謝のお気持ちがたくさん詰まっておりました。大重先生が日下先生をお呼びになる「日下君」という優しいお声が今も聞こえるようです。そして次は私が先生への溢れる感謝の想いを手紙に書き、読ませて頂きました。


 最後は、大重先生の御好きだった北島三郎の歌を皆で歌い、閉会となりました。
 こうしてとても心温まる時間を滴仙会員の皆さんで過ごすことができ、とても嬉しく思いました。大重先生もきっと会場におられたと信じています。
 ここに至るまでに、たくさんの御用意をしてくださった先生方に深く感謝いたします。ありがとうございました。
 安田東鶴先生の残しておいてくださった大重先生の映像を、司会者の米谷侑子氏が制作して下さったとお聞きいたしました。ありがとうございました。
 これからは大重会長の御言葉を胸に、伊藤理事長をはじめとする幹部先生方と協力し、滴仙会を盛り上げて行けるように、がんばって行きたいと思います。
 今年の「第15回滴仙会書法展」は大重会長の遺墨展になられるそうです。又、大重先生にお会いできますね。その日を首を長くして、待ちわびております。
                            (文責 滴仙会常任理事 吉田柏蓮 ・ 写真 天川爽司)

下記の動画は想い出の会にて上映した大重会長の写真と錬成会での手本揮毫風景です。


Comments are Disabled